春は過ぎ去ってしまい、夏は翳って、秋は侘しくあったけど、しかして冬がやって来る。小西明日翔『春の呪い』全2巻感想

ポータブックなるものを購入してしまったので
(昔からpomera愛好家? というほどでもないが、DM10の頃から使っていることには使っている。
 DM10は塗装がベタベタになってきたのでお蔵入りしているが、DM100はまだまだ現役)
日記代わりにブログでもやってみようと思うのだが、例によってアップデート地獄である。
なので、今この文章はとりあえず入れたTeraPadさんで入力しています。
そもそもにしてポータブックさんは酷評も酷評を受けていてニッチというか変なPCを使い捌くドM向けのような評価を
受けているようですが、趣味の小説を書いて時折ブログを書くという用途ならば必要十分でしょう。
欲を言えばフリゲをプレイしたいけど、そこまでは望むまい。
ああでもヴェスタリアサーガ……無理そう。
ATOK一太郎を入れたらそれでいいことにしよう。
あと便利そうなエディタ。うんうん。

それはともかくとして、タイトルの話題。
6月にですね、『春の呪い』という漫画が面白いと聞き、
pixivで1話が無料公開されていたので試し読み(※現在は2話まで試し読みできます)、
とても惹かれる(引かれる、という表現の方が正しいか)お話だったのでkindleで1巻ぽちー、
2巻の発売を心待ちにほんと心待ちにしていて、コミックゼロサムの12月号で表紙を飾っている上に最終回掲載、
もしかしたら後悔するかもしれないけど、この表紙と最終回のためにゼロサム購入。
そして12月24日に日付が変わると同時にkindleで2巻をぽちっ。
先が読みたくて、結末が知りたくて、仕方がなくなる。
それぞれの思いに締め付けられ、それでも生きねばならずに足掻く彼らを見届けたくてたまらない。
主要人物らの背景ゆえに、確実に人を選ぶし、もしかすると生理的嫌悪感を抱く人もいると思う。
それを越えてまで読んでほしいとは思わないが、「苦しい」とも「切ない」とも言い切れない感情を
誰かと共有したくて、できれば一読してほしいと願ってしまう、素敵な物語でした。
以下、概要とネタバレ感想。
(ネタバレ感想は部分的にはかなりぶっちゃけてますのでご注意ください)

 

 

『春の呪い』序盤のあらすじと未読の方向け感想

立花夏美は、唯一の家族であると信じ、最愛の妹であった春を病気で亡くした。
春には婚約者がいた。名前は柊冬吾。旧財閥であり、今なお日本経済に大きな影響を持つ相馬家の分家の出身だ。
立花家は今でこそ没落しているが、相馬家の分家の一つであり、つまり春は柊家の戦略の一環として冬吾と婚約したのだ。
だが、春は冬吾のことを好きになった。愛していた、と言っても過言ではない。
たった一人の家族である夏美を半ば置き去りにして。
間もなく春は発病し、闘病生活が始まる。そこで初めて出会う夏美と冬吾。
憎くさえ思う、妹の婚約者。はっきりと表立たせることはなく、けれど明るく振る舞うこともできず、
当たり障りのない態度で夏美はやり過ごしていた。目を合わせて話すことは、どうしてもできない。
やがて、闘病の甲斐なく、春は短い生涯を終える。最期まで冬吾を想いながら。
春の葬儀が終わって間もなく、夏美は冬吾よりある提案をされる。
「妹が死んだのならば、その姉と付き合ってみてはどうか」
冷徹そのものの提案に、しかし夏美はこう答えた。
「春と二人で行った場所に、わたしを連れて行ってくれませんか」
春が誰よりも愛していた、夏美から春を奪い取った冬吾と夏美の交際が、始まった――。


亡くなった妹の恋人とその姉が付き合うお話なので、
この時点でこういうのはダメだ、無理だ、何考えているんだ、という方は読まない方がいい。
人にはそれぞれどうしても許せないものがあるので、それを捻じ曲げてまで読むものではない。
気になるとか、創作は別だからとか、そもそもの設定に対して割り切れないと多分途中で怒り出して投げちゃう。
実際はてブのコメント(はてなブックマーク - それはまさに呪いのように。死んだ妹の恋人と交際する「春の呪い」が、凄い - いつかたどり着く

でも設定だけで相当disられていたので、ダメな人はダメ系だろう。
むしろ妹をないがしろにしている姉と恋人が不幸になって「ざまあ」な展開の方が好まれるのかもしれない。
この物語は勧善懲悪では決してなく、罪の意識とか後ろめたさ、強い後悔や絶望に追い詰められながら、
それでも人を好きになってしまうことを止められず、また苦悩の淵に追いやられる人たちの話である。
その割に終わり方はあっさりしていて、それでいいの? と問う人もいるだろう。
それについてはネタバレ感想の方で(私個人としての考えを)述べるけど、
たぶんこれは本当の終わりじゃないのだろう、と私は捉えている。

 


ネタバレ感想(ぶっちゃけてるし口調も変わる)

まず、これは呪いを解いて、また呪いをかけられて、敢えて呪いを背負って生きていくお話。
「春」の「呪い」とあるけれど、実は夏美と冬吾も成長の過程で呪いを受けている、と思う。
どんな呪いなのか、呪いとは一体何なのかを全部読み終えて一日も経っていない勢いで書いていくので、
正直矛盾が出ると思うし荒のある考察というか感想というか、もはや叫びです。
とても長く直情的なので、本当に時間のある人向けです。
正解なんてないので、こんな意見もあるよとだけ思ってください。不快になるかもしれません、すいません。


1.立花家の父が屑すぎる(夏美の呪いの話)
ぶっちゃけ、このことを書きたい故にブログ感想にした。
Twitterなどで感想追っていると既知の事実だからかあまり語られていないけど、
夏美と春とついでに海斗(後妻が産んだ弟)の父親はとりわけ夏美にひどい仕打ちをしていて、
よく夏美はグレなかったなと感心するくらいである。
この物語は、夏美と冬吾と春を巡るお話。主軸はこの3人にあるから、父親に焦点が当たることはなかったけど、
もしそんな場面があったらもっと非難轟々だったんじゃないかな!
夏美に最初の呪いを与えたのは間違いなくこの人。最終的に夏美を孤独にした。
既読の方ならご存じの通り、夏美と春の母とこの父は離婚し、それから間もなく(半年後)義母と結婚。
その1年後には弟(海斗)が生まれたとあるけど、当時の夏美と春はおそらく10歳前後。
思春期差し掛かりの娘らの前で繰り広げる話じゃない。
しかも2巻ではどうも夏美らの実母と婚姻関係にあるうちに、後妻と両想いになっていたらしく、
真面目で厳格のように描かれているけど、どうしようもない屑だと思いました。
(マンガの中の架空の人物をこんなに非難しても仕方ないけど)
それ以外にも、前妻との娘二人でも春を好いて夏美を疎んじていたとか、
恐らく成人している夏美(しかも春を亡くしてかなりの傷心状態)が週末に出かけてばかりの状況で
「近頃あいつは遊び回ってばかりだな」とあまり好ましく思っていない様子。
えーと、あと主軸は例の3人だから描写として省かれていると思うのだけど、
父を含む家族3人(父、義母、弟。義母には後にそのような描写があったが)には、1巻の時点ではどうも、
春の死を悼む描写が何もなくて、この家族は血も涙もない! ともの恐ろしさを感じまして。
極めつけは2巻のですね、海斗が全国模試50位に入ったから新しいグローブを買ってもらったところ。
これ、1巻には夏美が父に認められたいがために表彰されるほど頑張って、帰ってきたら後の義母が
家に来ていて新しいお母さんだから挨拶しなさい、と無慈悲な一言を放つ場面があって、
作者様が意識していたかどうかはわからないが、強烈に打ちのめす対比だなと雷撃たれました。
夏美にとってそれ以上の衝撃が待ち構えているので弟のグローブの場面はかなりあっさりしていましたが。
あと、義母が夏美に「夕ご飯はいらないの?」と物語の随所で尋ねているんですが、
少なくとも見えている部分として、夏美はそれに応えていない(家族団らんでの夕飯のシーンがない)んですね。
これも多分、家族の中でも孤独な存在となった夏美がかけられている呪いを示しているのではないかと思いました。

2.冬吾の呪いは分かりやすい
対する冬吾さん。名門の家の生まれでとっても優秀。家族仲もたぶん恐らく良好。
これまでの人生は順風満帆。このまま何事もなく成功が約束された人生を歩んでいくものと思われたが……。
冬吾さんの呪いはかなり分かり易い。読者も一緒に見てるから。
幼い冬吾さんを見下ろしての「絶対に」というあの場面がその象徴。
家の中でしか生きることができない、レールの上を進むしかないという呪いを幼少時にかけられています。
あの時のお母様の目線、ぞっとするほど怖いけど、同時に顔立ちは冬吾さんお母様似だなと思った。
それはともかくとして、「家の中でしか生きられない」という呪いは恐らく、柊家(ひいては相馬家全体にも?)
かけられている呪いで、お互いがお互いに呪いをかけあって雁字搦めになっている。
従兄の篤実さんなんかは上手く折り合いつけている印象だけど、
(相馬の家で生きることを当然としているけど、かと言って冬吾の最終判断を頭ごなしに否定しないし、
恐らくお嬢様育ちの真由子には挫折を味わわせたがっている節があり、冬吾の母のことは少々苦手の様子)
海外にいるという冬吾さんのお兄さんたちはどうなんだろう。
ただ、この呪いに強くかかってしまったのは、冬吾さん本人の資質もあって、それは真面目すぎるところとか、
夏美に会うまでは強烈な感情を抱くことのなかった人間として虚ろな部分とか、あるいは呪いを解こうとする気もなかったように思う。
事実、春が死んでしまわなかったら、夏美に心惹かれるものがあっても、冬吾は春と結婚してレールに敷かれた道をただ進むだけだっただろうから。
家の呪いを甘受して生きていくことができたのならば、冬吾の人生は安泰であっただろう。
幼い頃から感じていた空虚なものを、一生涯埋めることができなかったとしても。


3.春は呪ってしまった
さて、主軸の3人の中で(恐らく)唯一呪われていなかったのが、春です。
前述の通り、実父からそれほど悪い印象ではなく、姉からは溺愛されて、更には最愛の婚約者もできた。
最初から孤独だった訳ではなく、そのまま生きてさえいれば愛する人とともに歩む未来が待っていた。
不安もあっただろうけど、家族からは愛されて、心から愛する人がいた。
それが呆気なく手からすり抜けて、若い身空で死に往く、春。
1巻では闘病の最中でもふんわりとした陽気を漂わせていて、誰からも好かれていて、惜しまれるがままに亡くなる。
そんな春が愛し、自身は憎悪さえ抱いた冬吾と交際することに対する罪悪感、道ならぬ道を進んでいるという背徳の心。
それが前半の「春の呪い」だったのだが、それは所詮夏美(と冬吾)の思い込みに過ぎない。
だが、後半で春が明確に姉(と冬吾も)呪ってしまう。
このお話で春は誰にも呪われてはいなかった。だけど、意図せずに呪う側にはなってしまった。
春は19歳で亡くなりました。まだ若い、10代の娘さんです。未来のあった女の子です。そして妹です。
迫りくる死を恐れ、愛していた者を奪われるのではないかと恐れ、だけど為す術はなく、ゆえに呪ってしまう。
もし春が10代の女の子ではなく、20代の女性だったら、周囲を気遣って姉にも婚約者にも幸せになってほしいと考えることができたかもしれない。
見方によって、春はわがままな女の子です。
姉の愛をいつでも傍にある当たり前のものとして(そしてかつての約束を反故とし)、好きな人ができればその人のところへ行ってしまう。
婚約者と姉の姿を見て勝手に嫉妬して、遂には呪ってしまう。
それを言葉として伝えず、SNSにだけ遺していったのはギリギリの気遣いだったかもしれないけど、結局は消えるのことのない呪いになった。
姉に愛を返さず、婚約者に愛を捧ぐ彼女は見様によっては薄情者と言えなくもない。
けれど、死を現実のものとした10代の女の子が、果たしてわがままにならずにいられるだろうか。
春は表面上の話ならば十分、周囲を気遣っていて、だけど最期まで本心を打ち明けることはなかった。
春が直接、心のままに、夏美に「冬吾さんを盗らないでほしい」と伝えていれば、そもそも夏美と冬吾が付き合うこともなかったように思います。
最愛の妹の最期の望みであれば夏美は全力で叶えるだろうし、そうなれば冬吾はまた別の人間とお見合いをするだけ。
ふわふわとしていながら周囲を気遣い、誰からも愛される優しい女の子が「春」ならば、
誰にでもある羨望や執着、そして嫉妬を抱えて、SNSの中でのみ打ち明けることができた女性が「秋」。
特別でも何でもない女の子が、姉と婚約者を呪った。
いや、本当は近しい人が誰も見ていないはずのSNSに書き綴っただけに過ぎない。
本当は呪うつもりでもなかったのかもしれない。
だけど、それは本人がこの世からいなくなってしまってからも消えることなくネットの海に漂い、
結局後々に明確な呪いとして、夏美と冬吾、二人の間に横たわることになった。
19歳。大人になることができずに死んだ春が、何を思うのかは結局、誰にも分からない。
ただ、春の心が、願いが、この世に残ってしまった。呪いのような形をして。


4.呪いと祈りは良く似ている
長文書いていると自分でも訳が分からなくなってくるので、整理しがてらに。

●夏美が掛けられていた呪い:家族からの孤立、孤独
●冬吾が掛けられていた呪い:一族の中の決められた枠でしか生きられない人生

夏美と冬吾は似ている部分もあるけれど、大体の性格は反対の人間です。
夏美はあっけらかんと明るく行動力があり、だけどどこか諦念を抱いている。
冬吾は真面目で落着きがあり、やはり諦念を抱いている。
これが全くの正反対ではないから、お互い通じる部分があるし、しかし互いに自らにはない部分や視点がある。
だから互いに互いが掛けられていた家族からの呪いを振り切って、二人で手を取って進んでいくことを決める。
その代わり、二人は「春の呪い」を受けた。

●夏美にとっての「春の呪い」:冬吾さんを取らないでほしい(取られるくらいなら地獄に道連れにする)
●冬吾にとっての「春の呪い」:生きて幸せになってほしい

春からの冬吾への思いは、呪いなんて怖ろしいものではなく、死に往く者の切なる願いです。
純粋な祈りでもあるでしょう。
だけど、私は思います。呪いも願いも祈りも同じものだと。
他者が(あるいは自分が)こうなって欲しいと思いを籠める行為が祈りであり、願いであり、そして呪いです。
感情や方向性が異なるだけで、全部同種のものです。
また、冬吾にとってはまず幸せとは未知のものです。唯一心動かされて欲しいと思った夏美と共に行くことを決めたが、
それと幸せが同等なのかはまだ分からない。かと言って柊家の枠の中で生きることを虚しいと思ってしまっている。
もしも現時点で冬吾の幸せがあるならば、それは夏美と共に行くことである。
夏美は家庭からの呪いが解けても、冬吾と共に行く以上は春からの呪いを一生受け続ける覚悟である。
そして、やはり呪いが苦しいと思ってまた死を決意しても、冬吾まで道連れにしてしまうことになる。
二人が二人を必要としている以上、どんな形でも春の願いを裏切ることになってしまう。
だからこそ、夏美と冬吾は本当にあるかも分からない、春からの一生消えない呪いを敢えて受けて進んでいくのです。
夏美が春の願いを叶えようとすれば、冬吾への祈りは(冬吾にとっての)呪いとなり、
逆に冬吾が春の祈りを叶えようとすれば、夏美への願いは呪いへと転じる。
でも、夏美にとって、春を忘れられないでいられるなら、春がくれるものならば、たとえ呪い殺されようとそれは本望である。
余談ですが、夏美はこの最後の旅立ちの時でさえ、春の思いを背負っているように受け取りました。
病院栄養士として働くのは、春との死を思い出すから嫌だと語っていましたが、
最後の保育所の栄養士も、幼い頃は保育士になりたかった春のことを思ってのことではないか……という。これに関しては邪推です。
いやここに書いているの全部邪推ですけれど。

5.夏美と冬吾、二人のこれから
最終回を読んでの最初の感想は、「やけにアッサリしているな」でした。
同時にこの続きこそを読みたいとも思いました。
でもまた1巻から読み直して、この物語に様々な捉え方があると思うと、
これから二人が始まっていく、ここで終わるのが最良であったと妙に納得。
私のように、わりかし好意的に捉えている人はこのまま幸せになってほしいと願うけれど、
上でクドクドと語ったように、そもそも道義的におかしいから春はいっそ二人を地獄へ堕とすべきと思う人もいるでしょう。
いわゆる「俺たちの戦いはこれからだ!!」な終わり方でもある。
これからの二人にとってのモデルケースが作中に2件あります。
1つは立花家の父と夏美や春の実母のケース。
立花父と冬吾の共通点は真面目(立花父が本当に真面目かは……。いや、真面目な男こそ女に誑かされると篤実が言っているな)
そして夏美は実母に外見も性格も似ているとされています。
お互い惹かれあうものがあったとしても、反対の性質を持つ二人だから、どこかで決定的に破綻してしまうかもしれません。
もう1つは立花家の父と義母のケース。
道義的に許されないことをしたが、それでも互いを思いあい、幸せになった
(犠牲になったものはあったけど)(そもそも夏美と冬吾は不倫ではない、少なくとも)。
どちらの道を行くのか、はたまたどちらでもない道になるのか、それは読み手の心次第なのだろうなと感じました。


5.5.メタ的な視点からのアレコレ(※完全に妄想です)
コミックスの表紙、本編の扉絵、各種ペーパー、とにかく本編外のイラスト。
夏美と冬吾の二人のものは大体、「冬吾が夏美の方を向いていて」「夏美は正面じゃない別のところを見ている」構図になっています。
まあ冬吾さんったらそんなに夏美ちゃんのことが好きなのねウフフ(*´艸`*)と萌えるのもいいのですが、ここでは夏美に注目。
夏美が正面を見ているのは、1巻の目次前の口絵と、コミックゼロサム2017年1月号(最終回掲載号)の表紙だけ(たぶん)。
夏美はどちらでも真正面を見て微笑んでいる。
冬吾は1巻口絵では夏美の方を見て、ゼロサムの表紙では横目でありつつも正面のこちら側を見てる。
そこに注目しつつの、2巻6話の中盤と最終話の最後らへん。
どちらも夏美が「春に見つめられているような気がする」シーンと、その後に映る夏美の後ろ姿。
これ、実は読んでいる私たちこそが春の視点でいたのではないだろうか。
口絵と表紙は夏美が春(読者)に向かい笑いかけていて、6話と最終回では読者(春)が夏美の後ろ姿を見つめている。
死者に哀れむ心はない、死者が何を思うのか分からないとは、作中で冬吾が何度も語っている。
だけど読者がおよそ春の視点に立っていたとするならば、結末として呪いを与えるか祝福するかは、それも結局我々次第なのではないか……と思います。

 


読んだばかりの勢いで書いたので、重々申し上げますが矛盾もあるし意味が分からないし整理しきれてないところもあります。
もっと思うこととか、考えたことがあったけど書いているうちに忘れてしまったので多分手直ししますが、
私の感想としてはおおよそこのようなものです。
「たら」「れば」な仮定の話も多くて申し訳ない。
面白いというよりは胸が締め付けられる、だけど素敵なお話でした。
また何度でも読み直します。